音響パワーの概念について説明致します。
音響パワーとは?
音響パワーとは、音源から放射された音が、ある特定の面を1秒間に 通過する総合的なエネルギー量です。
我々が自然界で聞く音には、全て音源があります。音源から 放たれた音は、空気を媒体として夫々の方向に伝播して行きます。 これは池に石を落とした時に見られる波紋の広がりに似ています。 その波は実はエネルギを運んでいるのです。
同じように音もエネルギとして伝播して行きます。そして、その ある瞬間の音響エネルギが音響パワーです。
スピーカーから放たれる全音響パワーを得るには、スピーカーの 前面を包み込む仮想面に沿って音圧を綿密に測定し、その測定 結果から演算して算出します。
音響パワー周波数特性の測定
音響パワーの測定は以前から確立されており、半自由音場法や 音響インテンシティ法といった方法を基にISOやJIS-Z8732:2000と いった規格も存在します。ただ、これらはあくまでもある音源から どれ程の音響エネルギが放射されているかを測定するものであり、 そのエネルギ内の周波数特性分析を行う事はできませんでした。
Real Sound Labは、世界で初めて音響パワーの周波数特性分析を 可能とし、それを基にイコライジングを行う技術「CONEQ」を開発し、 今まで音圧のみで行ってきたイコライジングに、新たな方向性を 示す事ができました。
「音圧」ではなく「音響パワー」を補正する理由
従来のイコライジングの概念で使われていた「音圧」は、 スピーカ前面のある1点での音の圧力で、一方「音響パワー」は スピーカ前面のある特定の面を1秒間に通過する音の エネルギ量です。
ここで音圧と音響パワーの関係を簡単に説明する為に次の様に 電気に例えてみます。
音圧 = 電圧(V)
空気粒子の流れ = 電流(A)
音響パワー = 電力(W)
更にそれぞれの関係は下記の様に例えることが出来ます。
『電圧 x 電流=電力』 = 『音圧 x 空気粒子の流れ=音響パワー』
『電力 (W)x 時間(h)=電力エネルギ(Wh)』 = 『音響パワー x 時間=音響エネルギ』
例えば、人が電気に触れた時に受け取るものは「電圧」ではなく 「電力エネルギ(瞬間的には電力)」です。同じように人の 耳に届く音は「音圧」ではなく、空気中を伝わってくる音響 エネルギ(瞬間的には音響パワー)です。
音を音源から耳に運ぶにはエネルギが必要で、本来 イコライジングはこのエネルギ(瞬間的にはパワー)に対して 行う必要があるのです。
音響パワーイコライザ・CONEQ
CONEQはスピーカーから放たれる音響パワーを約400点の 測定ポイントから演算し、音響パワー周波数特性を完全に フラットにする技術を世界で初めて確立しました。
これによりスピーカーからの再生音を限りなく原音に 近づける事が可能となり、プレーヤーが演奏した音 そのままをスピーカーから再生する事を可能にします。